Kashima Soccer Room

Kashima0299

狂言綺語な世界線

2019年6月18日

8時30分、東京駅から鹿嶋市へ向かうかしま号に乗車する。メインイベントは19時から開催されるACLラウンド16のサンフレッチェ広島戦、サブイベントは10時からクラブハウスで行われるACLメンバー外の選手たちによる練習の見学だが、今日はそれ以外にも楽しみがある。普段ならバスに乗車し、高速道路へ繋がる宝町出入口に辿り着くまでに寝ていることも多いが、今日は高速バスが東京駅を出発する前からスマートフォンでDaznのアプリを起動し、コパ・アメリアの開幕戦、日本代表とチリ代表によるグループステージ初戦を見守っている。

日本代表が勝とうが負けようがどうでもいいが、コパ・アメリカに挑む日本代表は若い世代のメンバーが中心となっており、鹿島から安部裕葵が選ばれている。その安部裕葵はベンチスタートだったが、海外で戦う柴崎岳や植田直通がスターティングメンバーに選ばれ、さらに2年後の加入が内定している上田綺世くんもスターティングメンバーとして出場している。

バスが東京駅を出発してから15分くらい、日本代表vsチリ代表の試合時間で言うと44分、柴崎岳のスルーパスに上田綺世くんが抜け出すも、チリのキーパーに素早く詰められ、シュートは惜しくも枠を外れた。さらに後半に入っても57分、敵陣でボールを奪った柴崎岳が自らクロスを上げると、ゴール前でフリーになっていた上田綺世くんの足元にピタリと合うが、再びシュートは枠を捉えることが出来ない。その12分後、途中出場の安部裕葵が左サイドを駆け上がり、触れば1点もののクロスを上げるが、ファーサイドに膨らんでいた上田綺世くんとは僅かにタイミングが合わず、そのままゴールラインを割った。

試合終了。4-0でチリ代表が勝利したが、そんなことはどうでもいい。上田綺世くんのパフォーマンスに大きな感銘を受けた。まだ大学2年生だが、チリ代表相手に多くのチャンスを作り出した。ゴールを決めることは出来なかったが、結果はどうでもいい試合だ。そんなことより、動き出しの質が抜群だ。とんでもない逸材が鹿島に来てくれるのかと希望に胸を膨らませ、他のサポーターはJリーグで対戦するのが怖くて仕方ないだろうなとSNSで「上田綺世」と検索するが、SNSでは決定機を外した大学生に対する罵詈雑言が飛び交っていた。

宇宙開発センターに到着し、そこから歩いてクラブハウスに向かうと、グラウンドでは既に練習が始まっていた。怪我で戦列を離れている鈴木優磨もいる。もう怪我は大丈夫なのか、激しいメニューをこなしている。2年後に鹿島に加入する選手への誹謗中傷を見た直後ということもあり、大好きな場所の大好きな空気感に、涙が出そうになる。上田綺世くんも代表なんか抜け出して、ついでに大学も中退して、早く鹿島に加入して、誹謗中傷を行っている人が応援しているチームからゴールを量産すればいいのに、なんて自分勝手で非現実的な願いが頭に浮かぶ。

本日のメインイベント、サンフレッチェ広島とのACLラウンド16の1stレグは土居聖真のクロスをセルジーニョが頭で押し込み、1-0で勝利を手にした。ACL連覇に向け、まずは大きな勝利を掴んだ。決勝点となるゴールを決めた鹿島の18番に大きな声援が送られる。コパ・アメリカのせいで感情を揺さぶれる一日だったが、やっぱりこの場所が大好きだと感じることが出来た。はやくカシマで上田綺世くんの名前も叫びたい。