Momosaka

(0202)ーュビレ屋古名sv | vs名古屋レビュー(2020)

瑞穂スタジアムに試合終了の笛が鳴り響いた。0-1、敗北。公式戦デビューを果たしたルーキーのパフォーマンスは希望に溢れたものだったが、ザーゴ体制になってからACLプレーオフに続いて2試合連続無得点での敗戦。それでもザーゴは「今は試行錯誤しながらチーム全体でやっているところ。悪い結果になったからといって、やり方を変えたりする必要はないと選手たちに伝えた。精度、連係の部分をもっと上げていかなければいけないだ」と語った。

後半、1点のビハインドを負った鹿島はチャンスも作り出した。広瀬陸斗が土居聖真とのコンビネーションから前線に駆け上がったり、途中出場の荒木遼太郎や松村優太が積極的に仕掛けていくシーンも。しかし、得点の気配が存分にあったシーンはエヴェラウドのシュートが相手GKに防がれたシーンくらいだろう。攻撃を牽引する存在であるはずの土居聖真は昨季の終盤から継続して体が重そうだ。

エヴェラウドには独走できるチャンスも訪れたがボールが足につかず、その流れで訪れた決定機でも空振り。ストロングポイントであるはずである空中戦でも競り合いに勝てず、繋ぎの部分でもACLプレーオフに続いてシンプルなミスが散見された。気が早いサポーターからは「外れ外国人」の烙印が押され、気が早くないサポーターも援護し辛いパフォーマンスに終わった。

前線から激しい強度でのプレスで試合を支配し、先に決定機を作り出したのは鹿島だった。18分、少しラッキーな形だが、古巣対戦となった和泉竜司が相手の最終ラインの裏に抜け出し、ゴールーキーパーとの1対1を迎えた。しかし、ニアサイドを狙ったシュートはポストに阻まれ、先制ならず。これが決まるようになれば楽な試合展開になったのか知れないが、決定機を決めきれないことも含めて現在のチーム状況を表しているのだろう。

名古屋グランパスは強かった。前線には相馬勇紀や金崎夢生など強烈な個性を持つ選手が在籍しており、昨季のシーズン途中から指揮を執っているフィッカデンティは、少し時間がかかったが、チームに組織的で強固な守備網を構築した。この相手に勝つことは簡単ではない。ましてや、新監督が就任したばかりのクラブでは猶更だ。それでも、すべてのクラブに勝つためにザーゴを招聘した。就任間もなく開催されたルヴァンカップでの敗戦は受け入れたが、リーグ戦では勝ってくれないと困る。豊田スタジアムにキックオフの笛が鳴り響いた。

試合の入りが良かったのはホームの名古屋グランパス。ルヴァンカップとは真逆の展開となる。雷雨での中断を挟んだ後も名古屋が押し込む時間が長かったが、鹿島がカウンターから決定機を作り出す。16分、土居聖真がピッチ中央で相手を剥がすと、前線に持ち運んでエヴェラウドにパスを繋ぐ。ボールを持ったエヴェラウドはシュートモーションからゴール前でフリーになっていた選手にラストパスを送り、和泉竜司が決定機を決めた。

自身のゴールよりもクラブの勝利のために、より確実な選択をしたエヴェラウドがその後もピッチ上で存在感を発揮する。名古屋の金崎夢生が犬飼智也と関川郁万相手に苦戦する一方、エヴェラウドは空中戦でも地上戦でも圧倒的な勝率を誇り、前線でタメを作る。さらに自らキレがあるドリブルで相手ゴールに迫るシーンも。今季、すでに8得点を記録するなど近年最高クラスの助っ人であることを証明していたが、この試合ではゴール以外でも貢献しまくった。あのとき援護できなくてごめんね。鹿島に来てくれて本当にありがとう。

そして36分、シーズン2度目のスタメン出場を果たしたルーキーが金崎夢生を彷彿とさせる激しいプレッシャーをかけて敵陣深い位置でボールを奪うと、安部裕葵を彷彿とさせるダブルタッチから柴崎岳を彷彿とさせるシュートを沈め、追加点を奪う。シーズンの最初の練習試合であるテゲバジャーロ宮崎戦で唯一のゴールを奪ったルーキーはその試合から一度もパフォーマンスレベルを落とすことなく、進化し続けている。この試合でも荒木遼太郎がボールを持つだけで得点の気配が漂ってきた。いつまで一緒に戦えるか分からないけど、今が楽しくて仕方ない。

そして63分、荒木遼太郎が本山雅志を彷彿とさせるスルーパスを土居聖真に送り、ペナルティエリア内でボールを受けた土居聖真はゴール前にクロスボールを供給する。打てよ、なんて思っていたら、クロスボールは相手DFに阻まれて土居聖真の足元に返ってくる。打て、と再び思うと同時に土居聖真が左足を振り抜き、勝利を大きく引き寄せる追加点が決まった。中断期間中、昨年末から土居聖真の体が重かったのは怪我であったことが発覚。しかし、名古屋戦では2試合連続ゴールを決めるなど、トップ下で起用され始めた土居聖真が本来のパフォーマンスに戻ってきた。大阪では変態が「変態ですね」と褒めている。

豊田スタジアムに試合終了の笛が鳴り響いた。3-1、勝利。新たなエースが新しい一面を見せ、鹿島の8番が戻ってきて、ルーキーの覚醒が止まらなくて、和泉竜司が決定機を決めた。そしてザーゴは試合後の会見で前回対戦と比較し、「成長しているという感覚は私の中にある。今シーズン、監督や目指すフットボール、選手が多く変わり、それがうまくハマるまでは時間がかかる。今は、選手たちが何をすべきなのか整理ができていて、勝つことによって自信もついているように感じている。若手からベテランまで、一人ひとりが成長しようという意識を持って取り組んでいる。特に最近は、トレーニングでやっていることを試合で体現できている」と語った。リーグ3連勝。やっとここまできた。