Momosaka

[vs柏レビュー]3-2

2001

2001年5月19日。改修工事を終えたカシマサッカースタジアム、こけら落とし。1stステージ9試合を消化して2勝1分6敗とクラブ史上最悪のスタートを切った鹿島アントラーズが新たなホームスタジアムで最初に対戦するのは柏レイソル。1999年はカップ戦のファイナルで敗れ、昨年も2ndステージ王者の座を争った強敵だ。

この日も試合開始早々に先制を許したが、聖地で簡単に負けるわけにはいかない。大量の紙吹雪がピッチから姿を消した後半、柳沢敦(現鹿島アントラーズユースコーチ)がPKを決めて同点に追いつくと、新たなスタジアムでクラブのシンボルである柳沢敦が再び大仕事を果たし、逆転に成功した。しかし、1分後に失点。試合はVゴール方式の延長戦に突入する。

延長戦が始まった直後、柏レイソルにPKを献上。このPKが決まった瞬間、新たなスタジアムでの初陣に敗れることが決定するが、今日の試合がJ1リーグ通算8試合目の出場となった若手が救世主となった。今後、この選手がレギュラーを取れるかも、いつまで鹿島アントラーズにいてくれるかも分からないが、このPKストップは永遠に語り継がれるだろう。ありがとう、曽ヶ端準(現鹿島アントラーズ)。

そしてヒーローがもう1人。85分、熊谷浩二(現鹿島アントラーズスカウト)に代わって新たなホームのピッチに足を踏み入れた長谷川祥之(現鹿島アントラーズスカウト)がダイビングヘッドを叩き込み、その瞬間、タイムアップの笛が鳴り響く。昨年のリーグ最終節、試合終盤は時間稼ぎに徹し、「鹿島る」という単語が生まれるほど批判されたが、今年の勝利は文句がないはずだ。

試合後、キャプテンが「このスタジアムには神が宿っている。サポーターの応援が渦を巻いて、ピッチに降りてきた」と語った。そのコメントを聞き、今季は最悪なスタートを切ったが、この選手たちとならば逆転優勝すら可能だと希望に胸が膨らむ。

2002

2年連続、柏レイソルとカシマサッカースタジアムで撃ち合っている。昨年に続き、柏レイソルに先制を許すも、エウレル(現Safor Club運営)のゴールで同点に追いつく。さらにキャプテンマークを巻く秋田豊(現いわてグルージャ盛岡監督)の左足から放たれたシュートがネットに突き刺さり、逆転に成功する。しかし、昨年と同じように1分後に失点。そして、昨年と同じように長谷川祥之がダイビングヘッドを叩き込み、カシマサッカースタジアムには長谷川祥之のチャントが鳴り響く。

2015

2-2で迎えた83分、鈴木優磨(現シントトロイデン)が登場。先月のガンバ大阪戦でデビューを果たし、Jリーグ初ゴールを記録したストライカーの登場で、カシマサッカースタジアムのボルテージが一段階上昇する。後半アディショナルタイム、柴崎岳(現デポルティーボ)が素早くリスタートし、カイオ(現シャールジャ)が右サイドを抜け出した。クロスボールに反応した豊川雄太(元オイペン)はわずかに押し込むことが出来なかったが、その背後に鈴木優磨がポジションを取っていた。鹿島のアカデミーで育ったストライカーがカシマサッカースタジアムで大仕事を果たし、メインスタンドで観戦していたレオナルド(現PSGスポーツディレクター)が立ち上がって喜んでいる。とんでもないルーキーが誕生した。

2017

10試合無敗と好調の柏レイソルと敵地での試合。連覇に向けて上位決戦を制したい鹿島アントラーズは24分に先制を許すも、金崎夢生の強烈なシュートがネットに突き刺さり、ベンチスタートの鈴木優磨が感情を剥き出しにしながらピッチに飛び込んで金崎夢生を祝福する。さらに56分にも永木亮太(現鹿島アントラーズ)のFKが直接決まり、逆転に成功。その後、一度は同点に追いつかれるも、ペドロ・ジュニオール(現CSA)が圧倒的な個人技で勝ち越しゴールを挙げ、勝ち点3を獲得した。

2018

ACL決勝2ndレグを4日後に控えた11月6日、リーグ戦で柏レイソルと対戦。これまでリーグ戦での出場機会が少なかった選手たちで挑むことになったが、6分に金森健志(サガン鳥栖)のゴールで先制点を奪うと、一時は逆転を許すも小笠原満男(現鹿島アントラーズテクニカルアドバイザー)のCKから町田浩樹(現鹿島アントラーズ)が豪快なヘディングを叩き込み、再びイーブンに。そして後半、山口一真(現水戸ホーリーホック)が待望のJ1リーグ初ゴールを決め、ACL制覇に向けて大きな勝ち点3を獲得した。

2020

J1リーグ13試合を消化して5勝3分6敗と最悪のスタートを切った鹿島アントラーズだが、直近の試合ではアウェイでFC東京に逆転勝利を収めるなど、ザーゴの志向するサッカーをピッチで体現できる機会も増えてきている。しかし、本日の相手は柏レイソル。昨季はJ2リーグに所属していたクラブだが、オルンガという新たな武器を手に入れ、2020年はJ1リーグを圧倒的な攻撃力で席巻している。

大荒れの前半、柏レイソルの選手が2枚目のイエローカードを提示され、退場処分。後半、鹿島アントラーズは数的優位な状況で戦えることになった。しかし、先制を許す。セカンドボールを拾った柏レイソルの選手のパスを受けたJリーグのアシストでオルンガにゴールを決められた。ビハインドを負ったザーゴは攻撃的な選手を次々と投入。ルーキーの荒木遼太郎や染野唯月がピッチで躍動し、長谷川祥之のチャントを受け継いだ上田綺世が相手の背後を突き、遠藤康が後方からゲームを組み立てる。

72分、同点。キャプテンマークを巻く三竿健斗の左足から放たれたシュートが美しい軌道を描いてネットに吸い込まれる。さらに攻撃的になったところ、失点。再びオルンガに強烈なシュートを決められる。ただ、鹿島が負けてはいけない。89分、永戸勝也のクロスに土居聖真が合わせて同点ゴールを獲得。ただ、鹿島が引き分けで喜んではいけない。後半アディショナルタイム、再び土居聖真。鹿島のアカデミーで育ち、鹿島アントラーズのシンボルとなった土居聖真の2ゴールでリードを奪う。試合終了間際、前線に抜け出した荒木遼太郎が一直接にコーナーフラッグへと向かっていき、鹿島る。とんでもないルーキーが誕生した。その直後、ジーコが試合を見守るスタジアムに試合終了の笛が鳴り響き、ベンチではザーゴが感情を剥き出しにして喜んでいる。

試合後、キャプテンが「先制されているので、ゲーム運びとしては良くない。優位な状況にもかかわらず、先制されているので、まだまだ自分たちに甘さがある。ただ、失点しても、顔を上げて点を取るという自信がある。最後まであきらめないことや点を取れているという自信があるので、粘り強くプレーすることができていると思う」と語った。そのコメントを聞き、今季は最悪なスタートを切ったが、この選手たちとならば逆転優勝すら可能だと希望に胸が膨らむ。J1制覇に向けて大きな勝ち点3を獲得した。